「あとはテニスのネット……檻、いや網?」
網なら何とか、とも思ったが、問題はどう女性を縛るかだ。一つ一つ素早くネットを外し、火の玉を掻い潜りつつ……無理だ。絶対無理だ。火の玉は翠に消して貰うとしても、俺の体力が続かない可能性が大だ。しかし皆に手伝って貰おうにも、彼らは次から次へと湧いて出てくる悪霊たちに手がいっぱいで、そんな余裕はなさそうだし。
「思い通りに動かせるというのであれば、俺が念じるだけでこう、ビョイーンと飛んで行ったりしないかな」
そんな超能力者みたいなことが出来たらいいのに。と思いつつ、俺はネットをジーッと凝視する。あのぎっちりとポールに縛られたネットの紐を解く……のも面倒だな。引き千切る感じで。ブチブチーッと。
そんなことを考えていたら、凝視していたネットの紐がブチっと千切れた。
「え?」
「晶っ!」
見えた光景にぽかんと口を開けた俺は、次の瞬間に襟元を掴まれて、グイッと後ろに引き摺り倒された。ぐっと締まった襟に、思わず「ぐえっ」と、カエルが潰れたような声を出してしまう。実際に、潰されたカエルの声なんて聞いたことないけど。
「ぼさっとしてんなよ。危ねぇな」
「ああ、ごめん。ありがとう」
どうやら俺に襲いかかって来た悪霊から助けてくれたらしい瑞希は、悪霊を殴り飛ばした拳を握ったまま振り向いた。その隣では、何だか気だるげな様子で拳銃を撃ち続けている沙夜がいる。
「晶ちゃん、何か必殺技出すの?」
「は? 何で?」
「だって、さっき翠ちゃんに何か頼まれてたじゃん」
耳聡い戒が、俺の肩口にひょっこりと顔を出した。近づいて来ていた悪霊を、ついでとばかりに蹴り飛ばす戒に、俺はさっきのネットを思い出す。