「うん、まあ、出来るかどうか……ってところだけど」
「おお! 頑張れ晶ちゃん!」
「周りのは俺たちが倒すから、気にせずやればいい」
ほてほてと近づいて来ていたカズサが俺の言葉に目をキラキラさせれば、悪霊を薙ぎ払った大地が余裕の笑みでこちらを振り返った。
「早くしねぇと、翠がキレるぞ」
ちょっと疲れたような沙夜の声に慌てて振り返ると、数メートルの距離を置いて女性と対峙している翠が見える。そして、その二人の間を火の玉が行ったり来たりしていた。女性が投げた火の玉を翠がハリセンで打ち返し、返された火の玉を再び女性が投げ返す。何だ、あの物騒なラリー。
「オレももう飽きた。疲れた。終わらせるんならさっさと終わらせてくれ」
「……わ、判った」
はぁ、と溜息を吐く沙夜に俺がとりあえず頷けば、瑞希が「お前、もう飽きたのかよ」と呆れたような目で沙夜を見る。
大地と瑞希に両脇を守られ、戒とカズサの期待のに満ちた目に見られながら、俺は改めてネットに視線を移した。因みに沙夜は既にやる気をなくしたらしく、短いスカートにも関わらず俺の後ろでどこぞの不良のような座り方をしている。大欠伸なんかして、美少女が台無しだ。今、彼女の目の前にしゃがめば、高確率でパンツが見えるだろう。見る気はないが。
片方の紐が千切れたネットは、だらりと地面に落ちていた。未だ自分の能力というものに半信半疑な俺は、試しにもう片方の紐を千切るイメージを頭に浮かべる。すると、拍子抜けするほど呆気なく、ポールにしがみ付いていた紐はブチリと千切れ、ネットは完全に地面へと崩れ落ちた。
ドサリと、結構重そうな音を立てて落ちたネットに、戒とカズサが不思議そうな目を向ける。二人とも、あれを俺が念だけで千切ったのだとは思わないだろう。なにせ、やった本人ですら信じきれないのだから。
だがまあ、非科学的だと自分にこんな能力がとか、そういうのは後で考えるとして、今は翠に頼まれたことを成し遂げる方が先だ。